どことなく「TRICK」シリーズっぽい少しおどろおどろしい作風など、我が子と少し仮面ライダーを見ていた程度であまり仮面ライダーに詳しくなかった私でも
「この仮面ライダーはほかのライダーと違う」
と思えたシリーズが2005年に放送された仮面ライダー響鬼でした。
そして、その仮面ライダー響鬼において第二の主人公とも言えるキャラクターが“安達明日夢”(あだちあすむ)でしょう。
なぜなら、従来のシリーズでは主役ライダーを中心に話が展開されることが多いことに対して響鬼ではどこにでもいそうな子どもである明日夢の視点を中心に話が展開されているからです。
今回は、そんな明日夢が作中で遂げた3つの変身についてお話したいと思います。
明日夢とはどんな人?
変身について話す前に、そもそも明日夢とはどんな人でしょうか?
明日夢は第一話時点では14歳の高校受験を控えた中学3年生でした。
一緒に住む家族はお母さんのみ。
つまり、シングルマザーの家庭です。
2005年当時からひとり親家庭が増えてきたというデータもあるように、ある意味リアルな設定のようにも思えます。
それでも、基本的にはどこにでもいそうな平凡な中学3年生と言えるのではないかと思います。
高校生に変身!
いや、もはや変身じゃなくて成長。。。(笑)
しかし、あえて変身と書いたのには意味があるのです!
それは物語の軸として「明日夢の成長」があるからです。
冒頭に明日夢が、
「ヒビキさんと出会って、僕の中で何かが変わってきました。」
と語ってからオープニングに入るような展開が序盤はほとんどでした。
これは、ヒビキの出会いをきっかけに“成長という変身”を遂げていくという暗示のようにも思います。
明日夢は第八話で進学校の城南高校に合格し、高校生に“変身”します。
高校生に“変身”した後もヒビキを始めとした孟子の人々などの様々な仲間との交流や敵である魔化魍との対決を通して成長していきます。
時には仲間ともぶつかり悩みながら成長する姿は、子どもと一緒に見ていた保護者の方もグッとくるものがあったでしょう。
明日夢より小さいものの、子どもを持つ父親である私も少し胸が熱くなりました!
ヒビキの弟子に変身!
明日夢は中学生の頃からヒビキに対して憧れを持ち
「ヒビキさんのようになりたい」
と語ることもありました。
高校生に変身したあともヒビキへの憧れを持ち続けます。
そんな時に転入してきたのが桐谷京介でした。
京介は逃げ遅れた人を助けようとして殉職した消防士である父親をヒーローとして捉えていました。
京介はそんな父親を超えたいと考えていました、
そんな中、魔化魍に襲われたところに響鬼が助けに来たことをきっかけに響鬼(ヒビキ)を“超えなければいけない存在”と考え、ヒビキに弟子入りを懇願します。
実は、明日夢の「弟子への変身」は、この京介が大きく関与します。
なぜなら、弟子になろうとなりふりかまわない京介に何とか追いつこうとするようにヒビキに弟子入りを求めたりするからです。
ただ、どこか京介に対抗するために慌てて後手後手に弟子になることを求めているようにも見えました。
実は私はこのシーンの明日夢の慌てぶりやフラフラと行動している様子になんか“イラッ”としていました。
しかしこのイラつきは、自分でも知らず知らずのうちに、明日夢の成長を父親目線で見ていたからかな、と今は思います。
はじめは、2人を弟子にすることを拒否していたヒビキですが、魔化魍であるコダマを倒した後に2号ライダーであるイブキとその弟子(だった)あきらからも頼まれる形でヒビキの弟子に“変身”できました!
仮面ライダー響鬼に変身⁉
ヒビキの弟子になり、厳しい修行の末にとうとう仮面ライダー響鬼に変身⁉
と思いきや、本編では明日夢が響鬼に変身するシーンはありません。
それどころか兄弟弟子とも言える京介は鬼に変身することができるのに対し、明日夢は鬼に変身できません。
じゃあ明日夢は仮面ライダー響鬼に変身してないのではないか⁇
実はスピンオフのような位置付けである「仮面ライダー響鬼 超(ハイパー)バトルDVD 明日夢変身!君も鬼になれる‼」という作品で仮面ライダー響鬼に変身します!
このDVDでの話のあらすじとしては「ヒビキさんみたいに鬼になりたい」と特訓している中、ディスクアニマルたちがやってきて明日夢に“八つの鬼の心得”を教えてもらいます。
そこに魔化魍が現れて戦う最中に変身を試みると最後の最後に仮面ライダー響鬼に変身できたというところです。
DVD自体が児童誌「てれびくん」が出した応募者全員がもらえるオリジナルDVDということもあってか、コンパクトに話がまとめられています。
ただ、変身自体は装甲響鬼などヒビキの変身も一通り行うことができています。
そして、顔だけ変身を解いて、ヒビキの決めポーズの“シュッ”もします。
ちなみにこの響鬼に変身できた話は視聴者から「パラレルワールド説」や「明日夢が見た夢説」もあるようです。
しかし、パラレルワールドや夢でも、憧れの存在のヒビキに近づけたことは明日夢にとっては嬉しかったでしょうし、なんだか僕も嬉しかったです。
ここまでくると、もはやパパ視点です(笑笑)
まとめ
明日夢が遂げた変身として
- 高校生
- ヒビキの弟子
- 仮面ライダー響鬼
を紹介しました!
高校生で年齢的に成長し、ヒビキの弟子となり、様々な葛藤や悩みを抱きながら明日夢の想いや行動が変化していく。
最後には、夢かもしれないが憧れの存在の仮面ライダー響鬼となり戦う。
これらの変身は明日夢の成長の過程であり“ヒビキさんのようになりたい!”という純粋な憧れを持って行動してきた明日夢の“成果”とも言えるでしょう。
様々な成長や変身を見せる第二の主人公:明日夢は放送を見ていた子どもたちだけでなく、保護者も釘付けにしてきたのではないでしょうか⁉
ただの特撮ドラマではなく、ひとりの少年の成長ドキュメントのような視点でも楽しめる今までになかった革新的な仮面ライダーが響鬼だと思いました。